ASUSから2019年5月に海外で発表された「ZenFone 6 ZS630K」を入手しました。
筆者が購入したのは海外版モデルです。「ZenFone 6」は日本でもSIMフリースマホとして2019年8月に発売済みで、品薄状態が続くほど人気となっています。
ASUSは少し前までは国内SIMフリースマホ市場でトップに君臨していました。ここ最近はその立ち位置をHUAWEIに奪われています。
ASUSの復権のための看板的なモデルとなるのが「ZenFone 6」。ASUSらしさ満載の魅力的なスマートフォンに仕上がっています。
とびきり個性的な「ZenFone 6」をレビュー
筆者の手元に到着した海外モデル「ZenFone 6」の実機を使ってレビューしておきます。
「ZenFone 6」は2018年発売の「ZenFone 5/5Z」の後継モデルにあたります。
前モデルはミドルスペックモデル「ZenFone 5」とハイスペックモデル「ZenFone 5Z」がラインナップされていました。
今回の「ZenFone 6」では、ラインナップが整理されてハイスペックモデルのみがラインナップ(特別仕様モデルを除く)という感じです。
今回の「ZenFone 6」の目玉機能はフリップ式のカメラを採用していることです。
スライド式、ポップアップ式など、トレンドのノッチなしのフルスクリーンデザインを実現するために各メーカーがギミックを工夫しています。ASUSは他メーカーにないギミックを採用してきました。
その他のスペックも非常にハイレベルで「ZenFone 6」は発表段階で大きな注目を集めました。しかも、スペックを考えると価格は非常に手頃です。
実際に、「ZenFone 6」の実機を触ってみると、見ているだけでワクワクする仕上がりになっています。
しかも、びっくりしたことに入手した海外モデルの「ZenFone 6」は技適マークありでした。
「ZenFone 6」のスペックをおさらい
ASUSが公表している海外版「ZenFone 6」のスペックからおさらいです。
- OS:Android 9.0 Pie (ZenUI)
- ディスプレイ:6.4 インチ(2340×1080)
- SoC:Snapdragon 855
- RAM:6GB/8GB
- ROM:64GB/128GB/256GB
- カメラ:48MP+13MP
- Wi-Fi:802.11 a/b/g/n/ac
- 指紋センサー:○
- USB:Type-C
- バッテリー:5000mAh
- サイズ/重量:75.44(W)×159.1(H)×8.4-9.1(D) mm / 190 g
SoCに「Snapdragon 855」を採用するなど、「ZenFone 6」は十分にハイスペックスマートフォンというカテゴリーに入っています。
参考AnTuTu ベンチマークランキング | ベンチNo1のスマホは?
筆者が購入したのは、メモリ仕様が6GB RAM+128GB ROMのモデルです。普段使いのスマートフォンということで、容量不足で悩みたくないので内部ストレージの容量はけっこう重視して選びました。
「ZenFone 6」はトワイライトシルバー、ミッドナイトブラックの2色展開です。今回のレビュー機はミッドナイトブラックカラーをチョイスしています。
[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yasu-suma logo.jpg” name=””]トワイライトシルバーも非常にキレイな色合いです。[/speech_bubble]
海外における「ZenFone 6」の価格は499ユーロ(約6.1万円)~に設定されています。充実したスペックから考えると非常に手頃な価格設定です。
「ZenFone 6」の外観
まずは、「ZenFone 6」の外観を中心にチェックしておきます。
ただハイスペックというだけでなく、外観も非常に洗練されています。
前面デザイン
「ZenFone 6」は6.4インチのフルHD+(2340×1080)ディスプレイを搭載。
「ZenFone 6」のディスプレイは液晶(LCD)タイプです。
各メーカーのフラグシップモデルのような有機ELディスプレイではありません。
おそらくコストの関係で液晶タイプとなっていると思います。「ZenFone 6」のディスプレイは600nits(メーカー公称)という明るくて、実際にチェックしてみると十分美しいディスプレイです。
コスパの高さで話題となっている「OPPO Reno A 128GB」と「ZenFone 6」の画面表示を比較した記事も書いています。「OPPO Reno A 128GB」はミドルスペックモデルですが、ディスプレイはAMOLED(有機EL)採用です。合わせてチェックしてみてください。
http://yasu-suma.net/oppo-reno-a-128gb-display-review/
フリップカメラ採用でノッチなしのフルスクリーンデザインを実現
フリップカメラを採用したことで、ノッチなしのデザインを実現。非常にスマートなデザインです。
スライド式カメラ、ポップアップ式カメラなど、ノッチなしのフルスクリーンデザインを実現するために各メーカーがユニークな構造をもったスマートフォンをリリースしています。
「ZenFone 6」のような、ノッチなしのスマートフォンを体験するとなかなか戻れないですね。
極細ベゼル「ナノエッジ」デザインとなっていて、画面占有率は92%を達成。前から見るとほぼディスプレイといった感じです。
「ZenFone 6」の非常に美しいデザインに惹かれます。
ディスプレイ表面は強化ガラス「Gorilla Glass 6」で覆われています。落下等による画面割れのリスクを軽減してくれます。
ディスプレイ保護フィルムは別途購入が必要
レビュー機については、購入時点でディスプレイ表面には保護フィルムは貼られていません。
ディスプレイの細かな傷を防ぐための保護フィルムは別に購入する必要があります。
背面デザイン
「ZenFone 6」の背面は両端にかけてラウンドした形状になっています。
大容量バッテリーを搭載していることもあって、ボディの厚さはそれなりにありますが、丸みを持ったデザインによって持ちやすい印象です。
ガラス素材を使った光沢感ある背面
ガラス素材を使うことで光沢感ある仕上がりです。ギラギラの光沢感あるデザインではありませんが、落ち着きのあるデザインでぱっと見の満足度は高いと感じています。
指紋認証センサーは背面に搭載しています。
最新のスマートフォンではディスプレイ内に指紋認証センサーを搭載する機種が増えてきました。ただ、2019年段階では物理ボタン式の指紋認証センサーの方にメリットが大きいと感じています。
確かにディスプレイ内指紋センサーを初めて体験するとその先進性にワクワクします。ただ、使い続けると認証にかかる速度・精度はあと一歩といった印象です。
http://yasu-suma.net/oppo-reno-a-128gb-fingerprint-review/
「ZenFone 6」の指紋認証センサーは軽くタッチすると認証できるような、ハイレベルな精度と認証になっています。
背面ロゴがかっこいい
背面の「ASUS」ロゴが非常にクールな仕上がり。薄いブルーベースのカラーのロゴは目を引きます。
目玉のフリップカメラ
背面上部には、「ZenFone 6」で大注目のフリップカメラが搭載されています。
このフリップカメラは前面に飛び出すように回転することで前面カメラとして使用できます。
このような驚きのギミックを小さなスマートフォンのボディに。ASUSの技術力の高さを実感します。
Googleアシスタントを起動できる「スマートキー」
「ZenFone 6」の右側面です。
上の方には物理ボタン「スマートキー」があります。
初期状態では、スマートキーを押すことでGoogleアシスタントを起動できる設定になっています。
物理ボタンを設けることによってより利便性を高められています。
スマートキーの動作設定をカスタマイズすることで、1回押すとき、2回押すとき、長押しするときに特定の動作を割り当てることができます。
USBポートはType-C
「ZenFone 6」のUSBポートは「Type-C」です。
「ZenFone 6」で見逃せないのが5000mAhの大型バッテリーを搭載していることです。
4000mAhクラスのバッテリーを搭載したスマートフォンも珍しくなくなってきましたが、5000mAhバッテリー搭載の「ZenFone 6」はバッテリーの持ちがワンランク違います。
実際に、使ってみても3000mAhクラスのスマートフォンとはバッテリーの持ちは段違いです。確実にバッテリーの充電回数を減らすことができます。
若干ボディに厚みは出ていますが、利便性のほうが勝っています。大容量なバッテリーを搭載していることには非常に満足しています。
「Type-C」ポートの横には、3.5mmイヤホンジャックがあります。
最新スマートフォンでは廃止されることが増えてきましたが、「ZenFone 6」にはちゃんと搭載しています。
「ZenFone 6」の重量
注目の機能を多数搭載した「ZenFone 6」。気になる重量を測ってみたところ、筆者の環境では「201.5g」でした。
SIMなし、ケースなしの状態で計測しています。
メーカー公称では190gだったはず。。。うちの電子スケールが調子悪いのかな?って思うぐらいに差があります。
実際に持ってみると、最初は少し重いと感じますが、慣れてくるとそれほど気になるレベルではないと感じています。
「ZenFone 6」の付属品
「ZenFone 6」の主な付属品を並べてみました。
「ZenFone 6」の付属品で目を引くのが保護ケースです。
ハード系のクリアケースになっています。フリップカメラの部分が大きく切り欠きされたものになっています。
保護ケースを装着してみたときの背面はこんな感じです。
さすがに純正ケースということで、サイズ感はバッチリです。独特のデザインテイストになっているので、きっちりとサイズが合った、メーカー純正の保護ケースが付属しているのは大切なポイントです。
付属している保護ケースを装着した状態で重量を計測。
ボディ重量との差を考えると、保護ケースの重さは15g弱といった感じですね。
別途購入しなくても保護ケースが付属しているのはうれしいポイントです。
Amazonでは、すでに「ZenFone 6」用のケースが多数販売されています。お好みに応じて手帳型、TPU素材などから選んでみてもいいかもしれません。
トリプルカードスロット
「ZenFone 6」のカードスロットは、2枚のSIMカードと1枚のmicroSDカードを同時に使用できるトリプルカード仕様になっています。
microSDカードは最大2TBのものに対応しているそうです。
最近は大容量のmicroSDカードを低価格で入手できます。DSDVを利用しながら、microSDカードで容量不足に備えることができるのは嬉しいポイントです。
「ZenFone 6」のパフォーマンスをチェック
「ZenFone 6」はハイスペック向けSoC「Snapdragon 855」を搭載しています。
実際に操作してもサクサクと軽快に動作して、ハイスペックモデルならではのパフォーマンスの高さを実感することができます。
ベンチマークアプリ「AnTuTu Ver 7.22」を使って「ZenFone 6」のパフォーマンスを確認してみました。
これはAIによってパフォーマンスを向上させる「AIブースト」機能を無効にした状態です。ベンチを複数回実施してみたところ、「AnTuTu」の総合スコアは36万前後をマークしています。
「AIブースト」機能を有効すると更にパフォーマンスはアップ。
「AIブースト」機能を有効にしてベンチマークを複数回行ってみると、総合スコアは38万前後をマーク。
「AIブースト」機能によってパフォーマンスは確実にアップします。
[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yasu-suma logo.jpg” name=””]「AIブースト」をオンにしておくとバッテリー消費が早くなります。とりあえず筆者はOFFの状態で使っています。[/speech_bubble]
ハイスペックモデル向けの高性能SoCを採用しているということで高いパフォーマンスになっています。
これまで当ブログで計測してみたスマートフォンのAnTuTuのベンチマーク結果は以下のとおりです。
機種 | SoC | スコア |
---|---|---|
ASUS ZenFone 6 | Snapdragon 855 | 359,450 |
Xiaomi Mi 8 | Snapdragon 845 | 268,054 |
HUAWEI honor 10 | Kirin 970 | 199,447 |
HUAWEI honor 9 | Kirin 960 | 182,735 |
HUAWEI MediaPad M5 | Kirin 960 | 178,451 |
OPPO Reno A 128GB | Snapdragon 710 | 157,148 |
Xiaomi Redmi Note 7 | Snapdragon 660 | 143,919 |
HUAWEI nova lite 3 | Kirin 710 | 128,687 |
Xiaomi Mi A2 | Snapdragon 660 | 125,996 |
Xiaomi Redmi Note 5 | Snapdragon 636 | 116,593 |
HUAWEI nova lite 2 | Kirin 659 | 88,527 |
HUAWEI P20 lite | Kirin 659 | 87,620 |
HUAWEI P10 lite | Kirin 658 | 77,304 |
ZenFone 3 ZE520KL | Snapdragon 625 | 75,951 |
※スコアは3回計測平均
さすがにハイパフォーマンスなSoCを搭載しているということで、何度か連続してベンチ計測するとそれなりの発熱があります。
フラップカメラ
「ZenFone 6」で抜群の注目度のカメラについてチェックしておきます。
「ZenFone 6」のフラップカメラは4800万画素+1300万画素のデュアルの構成。標準カメラと広角カメラの組み合わせです。
このフラップカメラはインカメラも兼ねています。
インカメラとしては非常に高性能な部類に入り、セルフィー撮影性能を重視される方にとっては有力なチョイスとなりそうです。
当然ながらAI機能によるアシストにも対応しています。
京都のダイコクバーガーという美味しいバーガー屋があると聞き、食べにいったときに「ZenFone 6」で撮影したのが下の写真(リサイズ済)です。
AIが被写体認識してフードモードで撮影されています。
現在、メインとして使っている「Mate 20 Pro」でも比較するために撮影しました。「ZenFone 6」でもまずまずの写真ですが、やはり「Mate 20 Pro」の方が色の再現力が優れています。
「ZenFone 6」は、ソニー製の高性能センサー「IMX586」を採用し、メインレンズのF値は1.79と明るめです。
レーザーオートフォーカスや光学式手ぶれ補正もサポート。暗所でも安定して写真撮影することができます。
市街地でも撮影テストしておきました。
DXOスコアも判明
DXOMARKでは「ZenFone 6」のカメラスコアを公表しています。
「ZenFone 6」のカメラスコアは「104」です。「ZenFone 6」は写真画質に猛烈にこだわったというポジショニングではありません。意外と健闘したスコアという印象です。
https://www.dxomark.com/asus-zenfone-6-camera-review/
フリップ式カメラでの顔認証にも対応
「ZenFone 6」は指紋認証に加えて、顔認証にも対応しています。
顔認証を使ってロック解除する場合は、ロック画面でフリップカメラを前面に向ける操作が必要となります。正直、顔認証自体は非常に高速ですが、フリップカメラを操作するのは面倒で指紋認証で済ましてしまいます。
このあたりはフリップカメラのデメリットということになりますね。
SIMカードを挿して通信テスト
レビュー対象の「ZenFone 6」にLINEモバイル(ドコモ回線)のSIMカードを挿したところ、問題なくデータ通信ができています。
APN設定も以下のように、「OCNモバイルONE」や「楽天モバイル」などのMVNOサービスのものもプリセットされています。
UQ mobileの通話SIM(VoLTE対応)を挿してみたところ、データ通信はOKでしたが、通話はできませんでした。
海外モデル「ZenFone 6」は「au VoLTE」をサポートしてないようです。
日本国内での使用を想定する場合は、海外モデルの「ZenFone 6」よりも日本モデルの「ZenFone 6」がオススメです。日本での使用に最適化した対応バンドになっているので。

おサイフケータイ、防水・防じんには非対応
「ZenFone 6」の日本発売モデルも含めて、「おサイフケータイ」や「防水・防じん」には非対応です。
日本のユーザーからのニーズが高い機能ですから、次期「ZenFone 7?」の日本モデルでは期待したいところです。